私の経験を重ねた上、辿り着いた持論になりますが、本来人間には、驚異的な自然治癒力があり、整体は不必要だと常々患者さんにも説明していました。
今回は、自然治癒力について新しい視点から知ってもらい自分の中の最強のお医者さんに気付き、活用する方法をお伝えしたいと思います。また、赤ちゃんや高齢者の自然治癒力の違いなどもまとめ、そこを出発点に自然治癒力を最大限発揮できる方法もまとめました。
自然治癒力とは?
自然治癒力(しぜんちゆりょく、ラテン語 vis medicatrix naturae、英語spontaneous cure)とは、人間・動物などの心身全体が生まれながらにして持っている、ケガや病気を治す力・機能を広くまとめて指す表現。 手術を施したり、人工的な薬物を投与したりしなくても治る機能のこと。「 自己治癒力」とも呼ばれる。
自然治癒力 – Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/自然治癒力
とありますが、これに付け足すと自然治癒力には、骨のズレに起因する体の歪みを自然に治す力もあります。これは皆さんあまり意識したことがないようです。
整体の視点から見た自然治癒力の機能
「自然治癒力」という言葉を聞くとあなたは、癌や、難病、奇病などを治すイメージの方が大きいでしょう。しかし、もっと身近に自然治癒力は存在するのです。
筋肉が自分の元の位置を覚えている機能(形状記憶)
筋肉は、元の自分の位置を覚えています。これは骨折した時、筋肉が元の位置を覚えているからこそ、骨を整復するれば、バチッと骨は自然に元に戻ることからもお分かりになると思います。元の位置を覚えていなければ、手術をして骨を完璧な位置に戻さねければならなくなります。
体を動かすと体のゆがみが取れる機能
人間の体は、年中歪んでいます。日常の癖、寝方、仕事・・・では、なぜみんながみんな同じ症状がでないのでしょうか?それは、人間の体には、大きく体を動かすと体のゆがみが取れる機能があるからです。
大きく筋肉を動かすと伸びたり縮んだりします。この瞬間に筋肉の形状記憶が働き元の位置に収まります。デスクワークをしている合間に無意識に「う~」と伸びたりしていませんか?あれは、体のゆがみを調整しているわけです。
センサー機能
どこか痛めたときに自然に手がいきますね。昔からよく言われる「手当て」と呼ばれるものですが、自然と痛みが和らぎますよね。
「手の温もりだろ」「神経を鈍感にさせてるんだろ」
色々な意見があると思いますが、痛みがあるとこに手を当て刺激を与えることにより、それをスキャナーのように読み込み回復させる機能が人間にはあります。
人間は、ホメオスタシス(恒常性)という、内部の環境を一定に保とうとする機能があります。環境に適応させるために自分自身を守るための機能ですが、この機能がネックになることがあります。それは、体がゆがんでしまったまま保とうともするのです。これを崩すのが、外部刺激です。つまり手当ての刺激がセンサーの役割を果たすのです。自分自身で実証できます。
1、立ったままわき腹にある骨盤の上部(肋骨に手を触れ下に手を動かすと固い骨に触れる部分。ウエスト辺り)を触り、左右差を確認
2、骨盤の骨の周り、周辺の骨の周りをとにかくペタペタ触りまくる
3、もう一度骨盤チェック
微細な変化ですが、わかると思います。ただペタペタ触る刺激がセンサーとなり骨のズレを感知し、修正したのです。
赤ちゃんや子供の自然治癒力はすごい
赤ちゃんや子供は、走り回って転んでもまた走り、暴れまくりそれでも大人のようにギックリ腰になったなんて聞いたことがありません。大人と何が違うのでしょうか?
筋肉の柔軟性
赤ちゃんや子供は大人に比べ非常に筋肉の柔軟性があります。犬と猫を思い出してもらうとわかりますが、猫は高い所から落ちてもへっちゃらですが、犬はそうはいきません。筋肉の柔軟性が大きく違うからです。
筋肉に柔軟性があるということは、血流やリンパなどの循環器系はスムーズに流れますし、骨がずれ体が歪んだとしても、動けばすぐ元の位置に戻る余力を備えているということです。固いゴムより柔らかいゴムの方が色々な形になれることからもイメージできるはずです。
姿勢
お子さんの姿勢を改めてよくチェックしてみてください。座っている時、立っている時大人よりも明らかに姿勢がよく軸がしっかりしています。筋肉が柔軟で滞りがないので、無理をしなくても美しい姿勢を取れるのです。美しい姿勢が取れるということは、全身の筋肉が満遍なく使われ偏りがなくコリが発生しません。
以上の2つを備えていると例え少し骨がズレようが痛みは発生しません。
高齢者の自然治癒力は弱い
人間は、年を取れば取る程、筋力も減り、体の柔軟性は減少していきます。赤ちゃんとは逆の現象が起きるわけです。筋肉が固くなるとちょっとした骨のズレがすぐに影響し、痛みを引き起こしてしまいます。固いゴムはすぐ切れてしまいますが、あの状態に近いわけです。
加齢による、筋力低下で体を動かすことをしなくなり、体を動かすことがなくなれば柔軟性は低下し、柔軟性が低下すればちょっとした骨のズレが即痛みに繋がり、自然治癒力も働きづらい環境になっているのが高齢者です。
自然治癒力を最大限高めるには?
体を動かす
ウォーキングでもなんでも構いません。普段しないようなダイナミックな動きが体のゆがみを取り去ってくれます。
ストレッチをする
最低限の柔軟性を確保すれば、体を動かした時にゆがみが取れやすいですし、筋肉が柔軟であれば、血流、リンパの流れも良くなります。
ちなみにストレッチは痛みが出たら絶対ダメです。筋肉が痛みに反応し萎縮してしまいますので、気持ちいい程度に抑えるのがコツです。
外部刺激を与える
ホメオスタシス(恒常性)を打破する方法です。自分の体を優しく擦ってみてください。特に骨をなぞる感じだと効果大です。外部刺激により、骨のズレを感知しあなたの体が改善してくれます。強すぎると正確な感知ができないので、なるべく優しくがコツです。
総括
人間に本来備わっている自然治癒力を整体の目線から解説してみました。お医者さんや整体師、他のボディワーカーもそうですが、患者さんの体を治してはいません。治せません。あなたの本来持っている自然治癒力の力を少し引き出しているだけなんです。治しているのはあなた自身なんです。
もし、あなたの体に自然治癒力がなければ、206個あるあなたの骨を定規や角度計で測りながら0.0001ミリ単位で整えて行かなければなりません。何百時間あっても足りないですし、これぐらい精密に整えてもまだまだ足りないでしょう。
自然治癒力があることが前提の整体なわけです。つまり、本来はあなたの体には整体は必要ないということです。整体を必要にさせているのは、あなたの日常生活の過ごし方や自然治癒力を下げる生活が原因なのです。
今回ご紹介した自然治癒力を最大限高める方法をまず1ヶ月続けてみてください。必ず体が変わってくるはずです。一生を過ごす自分自身の体です。ここで少し立ち止まって労ってあげてくださいね。お役に立てれば幸いです。